小児の急性中耳炎に抗菌薬は必ず必要ですか?

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11月12日から18日まで世界抗菌薬啓発週間です

11月12日から11月18日は世界抗菌薬啓発週間です。

抗菌薬の不適切使用によって世界的に耐性菌が増加しています。

一方で新しい抗菌薬の開発はなかなか進んでいない現実もあり、子供好きの私としても、子供の世代の為にも抗菌薬を大切に使って欲しいと心から願っています。

というわけで、私にも少し何かできないか考えたのですが、以前から興味津々の急性中耳炎についての文献を読んでまとめてみようと思います。

急性中耳炎には絶対抗菌薬が必要?

今回のお題はこちら↓

Antibiotic therapy for children with acute otitis media

PMID: 28904032

2016年Canadian Pediatric Societyのガイドラインでは、6ヶ月以上の小児の急性中耳炎の場合、鼓膜穿孔、耳漏、39℃以上の発熱、中等度または重度の痛み、48時間以上症状が続く場合と軽度であっても24〜48時間で症状が改善しない場合もしくは悪化する場合に抗菌薬を投与することを推奨しています。

2018年4月のMedscapeに上がっているガイドラインでも、抗菌薬の使用は、6ヶ月以上の小児であれば中等度または重度の痛み、48時間以上の痛みまたは39℃以上の発熱の場合、6〜23ヶ月の小児であれば重症ではないが両耳の急性中耳炎の場合には抗菌薬を投与すべきとしています。

つまり全例に抗菌薬が必要というわけではなさそうですね…。

今回取り上げたレビュー(?)文献(?)では、2015年に発表されたレビュー2つがまとめられています。

そのうち1つはコクランレビューですが、13のプラセボと抗菌薬とのランダム化比較試験の結果がまとめられたもので、抗菌薬は最初の24時間で痛みを軽減しなかったとしています。(RR 0.89(95%Cl 0.78~1.01)

また、プラセボと比較し翌日の疼痛への効果はわずかで、2〜3日目でRR 0.70(95%Cl 0.57~0.86、NNT=20、4〜7日目でRR 0.76(95%CI 0.63~0.91)、NNT=16、10〜12日目でRR 0.33(95%CI 0.17~0.66)、NNT=7と報告されています。

異常な鼓膜所見の減少は2〜4週間でRR 0.82(95%CI 0.74~0.90)、NNT=11、6〜8週間ではRR 0.88(95%CI 0.78~1.00)、NNT=16という結果でしたが、3ヶ月後の所見には有意差がなくなります。(RR 0.97(95%CI 0.76~1.24)

一方で下痢や嘔吐、発疹などの副作用はRR 1.38(95% CI 1.19~1.59)でNNTHは14という結果です。

また、抗菌薬の投与と経過観察の比較では、3〜7日の痛み(RR 0.75(95%CI 0.50〜1.12)、4週間後の鼓膜所見(RR 1.03(95%CI 0.78〜1.35)、急性中耳炎の再発(RR 1.41(95%CI 0.74〜2.69)のいずれにおいても有意差は見られていません。

個人的には現状を知った上で判断して欲しい

この文献から考えると、一般的には抗菌薬が必須と思われがちな急性中耳炎でも全例では抗菌薬が必要だと言いにくいところがあり、その効果と副作用リスクを注意深く選択する必要があると思います。

発熱や痛みで早く治って欲しいというのは親心として非常にわかりますが、早く治ることと抗菌薬がないと治らないということをイコールで考えてはいけないのではないかと思った文献でした。

また、抗菌薬を飲んだからといって早く治るのかどうか(症状が和らぐもしくは感じなくなる)もこの文献から考えるとよくわかりません。

親が抗菌薬が必要かどうかを判断するのは無理だとは思いますが、必ずしも必要でないケースが急性中耳炎でもあるというのを知っているのと知らないのとでは行動が変わってくるかもしれません。

急性中耳炎に限りませんが、風邪などに対して処方されることが多い抗菌薬ですが、特に子供は取らなくてもいいリスク(副作用など)を取っているばかりか、将来にわたって不安要素を残す(耐性菌)ことにもなりかねません。

親の踏ん張りどころではないでしょうか?

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