今回は超久しぶりに吸入薬についてです。
スピリーバに関してはデバイスの違いで非常に怪しい報告もあった薬です。
また、使用方法に関してもあまりいい話は聞きません…。
固い、回しにくい、2秒間吸いきれないなど様々な落とし穴があるデバイスです。(他のデバイスも落とし穴はありますけど…。)
メーカー側は、2秒間噴霧するので吸入しにくさを軽減していると回答していますが、実際のところ吸ってもらうのを何度も確認させてもらっていますが、満足に吸えている方ばかりというわけではありません。(※個人的感想です。)
口から漏れていたり、2秒間吸いきれず「ぼふぁっ」と盛大に吹き出してしまったりという経験もそれなりにしています。
吸いきれない分がどの程度薬効などに影響するかについてはまだ調べてないのでわかりませんが、今回はスペーサーを使用した場合としない場合でFEV1がどれくらい異なるかを検討した論文を読んでみました。
Contents
お題論文
Bronchodilator Effect of Tiotropium via Respimat®Administered with a Spacer in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD).
PMID:28824055
論文のPECO
P : 平均年齢75.3歳のCOPD患者
E : スペーサー(エアロチャンバー)+スピリーバレスピマット
C : スピリーバレスピマットのみ
O : トラフFEV1
ランダム化されている?
ランダム化されているか? → されている
一次アウトカムは明確?
一次アウトカムは明確か? → 明確
真のアウトカム?
真のアウトカムか? → FEV1なので代用のアウトカム
盲検化されてる?
盲検化されているか? → されていない。スペーサーを使用するかどうかなので盲検化は不可能
ランダム化は保持された?
ランダム化は最終解析まで保持されたか? → 10名登録され、9名で解析されているのでITT解析ではなさそう
結果
吸入を介助してもらわなければならない人は除外されています。
FEV1
スペーサーあり 1,492 → 1,607
スペーサーなし 1,524 → 1,617
FVC
スペーサーあり 2,746 → 2,863
スペーサーなし 2,786 → 2,912
V50/V25
スペーサーあり 3.22 → 3.36
スペーサーなし 3.06 → 2.91
CAT
スペーサーあり 12.3 → 13.0
スペーサーなし 11.6 → 10.4
セカンダリーアウトカムでスペーサーを使用したほうが操作が容易であったと回答した人が多い傾向があったようですが、有意差はありません。
まとめ
FEV1などのアウトカムで代用のアウトカムではありますが、スペーサーを使用することでの影響は見受けられません。
よく言えば、使いたければ使っても治療に影響はなさそうですが、悪く言えば使わなくても変わらないかもしれないとも捉えられそうです。
ただし、吸入に介助が必要な人は除外されていることから介助が必要な場合はわかりません。
一方でセカンダリーアウトカムで有意差もありませんが、使用が容易になるかもしれないという側面は知っておいてもいいかなと思います。
効果的ではないからスペーサーを使用しないではなく、使用したほうが使いやすそうだというのであれば、少なくともFEV1に関しては影響はないので問題がないように思います。
まあ…。どっちでもいいよってことですね。笑
値段も、マスクありのエアロチャンバーで5,000円ほど、マスクなしで3,000円ほどで購入できます。