新しく発売されるパーキンソン病の新薬アジレクト。
MAOB阻害薬でありながら今まであったエフピー(セレギリン)と違いアンフェタミン骨格を有さず、アンフェタミンやメタンフェタミンを生成できないことから覚せい剤原料として取り扱われません。
これは薬局としては非常にありがたい。
理由は保管が楽になるからです。
麻薬及び向精神薬取締法第34条では、
覚せい剤原料は、薬局においては薬局内に鍵をかけた場所に保管しなければならない。 できるだけ人目のつかない場所が望まれるが、厳密な規定はない。 覚せい剤原料は覚せい剤とは異なり、麻薬保管庫と一緒に保管できない。
と規定されていて他にもそれはそれは沢山の法律が定められています。
しかし、それは薬局の都合…。
実際の効果がセレギリンより劣るのでは患者さんにとってはデメリットの方が大きくなってしまいます。
Contents
お題論文
Efficacy of rasagiline and selegiline in Parkinson’s disease: a head-to-head 3-year retrospective case–control study
論文のPECO
P : 血管性パーキンソニズムの患者は除外したパーキンソン患者
E1 : セレギリン(1日あたり5または10mg)
E2 : ラサギリン(1日あたり0.5または1mg)
C : MAOB阻害薬の投与なし
O : Hoehn and Yahr(HY)病期分類システムとUPDRS (
Unified Parkinson Disease Rating Scale)
真のアウトカムか?
論文のアウトカムは真のアウトカムか? → 病期と症状のスコアだから真と判断
調整した交絡因子は?
調整した交絡因子は何か? → 性別、疾患期間、年齢がマッチングされている。
すべてのモデルでベースラインスコアと併用療法ごとに調整している。
結果
セレギリンで治療された患者の約80%(n = 70)が推奨された(5mg /日)用量の半分が処方され、ラサギリンはすべての患者が最大量である1mg /日の処方を受けていた。
フォローアップ後のHoehn and Yahr(HY)病期分類システムとUPDRS
MAO-B阻害剤使用者と非使用者の間、またはラサギリンとセレギリン使用者の間で有意差なし。
ジスキネジアの罹患率
ラサギリン
OR 0.47(95%CI 0.28~0.81、p = 0.006)
セレギリン
OR 0.53(95%CI 0.31~0.90、p = 0.019)
追跡期間中のジスキネジア発症
ラサギリン
OR 0.54(95%CI 0.29~0.98、p = 0.045)
セレギリン
OR 0.56(95%CI 0.30~0.99、p = 0.049)
また、MAOB阻害薬の使用はレボドパの1日用量の有意な減少と関連し、非使用者は約2倍の増加が必要であったとしています。
まとめ
セレギリンとの直接比較ではないみたいですね…。
症例対照研究ではありますが、MAOB非使用者との間にジスキネジアなどで有意差が見られています。
ただ、気になる点はセレギリンは5mgが多いのにラサギリンは最大量の1mgがほとんどというところ。
セレギリンとの直接比較の論文がいくつかあったので次回読みます。
今回はこれで。