チアジド系は転倒リスクと骨折リスクを増やしますか?減らしますか?

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今回はチアジド系の転倒リスクと骨折リスクについてです。

twitterで頂いたCQですが、今回見つけた文献は残念ながらアブストラクトしか読めません…。

なので復習なども兼ねてまとめておこうと思います。

復習

チアジド系利尿薬はトリクロルメチアジドがよく処方されているでしょうか。(ヒドロクロロチアジド処方されていますか?)

チアジド系類似薬としてインダパミドも処方されています。

作用機序

作用機序は遠位尿細管におけるNa-Cl共輸送体を阻害です。

高齢者高血圧診断ガイドラインでの推奨グレード

また、高齢者高血圧診療ガイドライン2017の中では「サイアザイド系(類似)利尿薬は骨折リスクを低下させる可能性があるので使用を考慮する。」として推奨グレードBとしています。

類似とあるのでインダパミドも含まれていそうです。

チアジド系は骨折リスクが低いとされる理由

なぜ、チアジド系利尿薬が骨折リスクを低下させる可能性があるかというと、添付文書の慎重投与のところに高カルシウム血症とあるようにカルシウムの再吸収が上がるからと考えられています。

遠位尿細管でNa、Clの再吸収が抑制されることで循環血漿量が低下するので近位尿細管でのNa吸収が上がるためCaの再吸収も上がります。

また、尿管腔のNa濃度が上がるので遠位尿細管でのCa再吸収なども上がります。

文章だとややこしいですがとにかくCaの再吸収が上がる傾向にあるということです。(自分で書いててもややこしい…。)

ただ、血中のCaは上がったけど骨折はあまり防げませんでした。

なんてこともあるかもしれないと思ったので、実際に調べてみるとコクランからレビューが出ています。

お題論文1

Thiazide diuretics and the risk of hip fracture.

PMID:21975748

論文のPECO

P : 成人

E : チアジド系利尿薬

O : 股関節骨折

一次アウトカムは明確?

一次アウトカムは明確か? → 明確

真のアウトカム?

真のアウトカムか? → 真のアウトカム

メタ分析の4つのバイアス

評価者バイアス → 2人の著者で評価している

出版バイアス → MEDLINE, EMBASE, the Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL), the Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature (CINAHL), International Pharmaceutical Abstracts, the Database of Abstracts of Review of Effects (DARE) and reference lists of previous reviews

言語についての記載はなし

元論文バイアス → RCTは見つからず21の観察研究(6つがコホート、15が症例対象研究)

異質性バイアス → I2で評価されていそう

5つのコホートはバイアスリスクが低く、1つはバイアスリスクが中程度。 7つの症例対照研究はバイアスリスクが低く、8例つはバイアスリスクが中程度であった。

結果

コホート研究のメタアナリシス

RR 0.76(95%CI 0.64~0.89、p = 0.0009)

症例対象研究の方は異質性が高かったので検討していないとしています。

まとめ

アブストラクトしか読めず不明なところもあるので割り引いて考える必要もあるかもしれなせんが股関節骨折は減るかもしれないという結果。

症例対象研究の方はバイアスリスクが高くなさそうですが異質性が高いということで結果に含まれていません。

どうなんでしょうか…。

お題論文2

The risk of falls on initiation of antihypertensive drugs in the elderly.

PMID:23612794

論文のPECO

P : 66歳以上のカナダ人

E : 降圧薬服用(チアジド系利尿薬、ACE阻害薬、ARB、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬)

O : 転倒

真のアウトカムか?

真のアウトカム

結果

543,572人中観察期間中に8,893人に転倒が起きた。

IRR = 1.69 (95%CI 1.57~1.81)

最初の45日間に69%増加。

これはARB以外では一致していたとしていますので、チアジド系の転倒リスクもこれくらい?

最初の14日間の転倒

IRR = 1.94 (95%CI 1.75~2.16)

まとめ

チアジド系だけの転倒リスクを検討した論文が見つかりませんでした。(探し方が悪いんだと思います…。)

交絡因子の記載がないためその影響が全くわかりません。

しかし、転倒リスクは少なくとも他の降圧薬(ARB以外)と同程度はありそうです。

総まとめ

2つのアブストラクトを読んでみましたが結果だけを見るなら転倒は増やすかもしれないけど股関節骨折は減るかもしれないということになります。

しかし年齢がわからないので転倒しやすい年齢だったらどうなのか?という疑問もあります。

最後に、高齢者高血圧ガイドライン2017ではループ利尿薬も推奨グレードBですが骨折リスクを上昇させる可能性があるので注意してと書かれてるんですよね。

ちょっとよくわかりません…。

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