モンテルカスト。喘息などを始め処方される機会も多く服用したことがある人も多い薬だと思います。
添付文書上には精神神経系の副作用の記載がありますが個人的にはその辺あまり考慮されず結構処方されている印象があります。
また、実際のところどれくらいの頻度なのかも添付文書のみからではわかりにくいですね…。
お題論文
Neuropsychiatric adverse drug reactions in children initiated on montelukast in real-life practice
PMID:28818882
論文のPECO
P : 喘息と診断された1〜17歳の患者。
モンテルカスト単独もしくはICS治療中に追加、もしくはICS、LABA併用治療中に追加になった患者。
E : モンテルカスト単独もしくはICSと併用として新規服用
O : 精神神経系の有害事象
真のアウトカム?
論文のアウトカムは真のアウトカムか? → 真のアウトカム
調整した交絡因子は?
調整した交絡因子は何か? → modified multivariable logistic regressionが行なわれている。
年齢、性別、人種、喘息コントロール、表現型、個人および家族の行動の問題、薬の服用の開始と問診などの間の遅れ
結果
106名が参加したコホート研究。
精神神経系の有害事象によるモンテルカストを中止した人数
17人(16% 95%Cl 10~26%)
そのうちおそらくモンテルカストによる有害事象だろう判断された人数
13人 (12% 95%Cl 7~21%)
モンテルカストによるものと決定されたものは0人。
全体で25名(24%)に発生し57の精神神経系の有害事象が報告された。
最も頻繁に報告された有害事象は、過敏症(n = 9)、攻撃性(n = 8)、睡眠障害(n = 7)で、そのほか、気分のむら、不安、多動、不穏、行動問題なども報告されています。
モンテルカストを中止してから症状の解消まで7(2~14)日および2(0~3.5)日。
患者は自殺念慮を報告しなかった。
発生した有害事象の70%が軽度で、薬物中止のみで回復。
残りの30%は非常に軽度であるとされています。
このコホート研究の後に、ICS単独もしくはICS/LABA治療群とマッチングしたコホート研究もされています。(各群84名ずつ)
こういう形の研究の妥当性が私にはよくわかりませんが、ICS単独治療と比較した時のRRが12.0 (95%Cl 1.6~90.2)という結果が出ています。
さらにICS/LABAとモンテルカストの併用でより神経精神系の有害事象の発生が増えそうということが示唆されていますが、ここはあまりよくわかりませんでした…。
まとめ
神経精神系の有害事象の発生はモンテルカストで増えるかもしれないという結果。
しかし、いずれも軽度でありモンテルカストの中止で回復している。
こういう副作用があるから〜!と大騒ぎするような印象は受けません。
喘息などで服用の必要がある人も多いので冷静な対応をして頂き、気になるようなら医師、薬剤師に相談して欲しいですね。
喘息は時に命に関わりますからね…。
ただ、私だけかもしれませんが気管支喘息ではなくウイルス感染などによる喘鳴にも短期間で処方されている例も散見しますが、効果は微妙かもしれない報告もされていてはっきりわかっていません。
そういった場合にモンテルカストを上記のような有害事象リスクを背負ってまで服用しなくてもいいかな…というのが今の個人的感想です。